
事業所の電池・蛍光管・スプレー缶の処分方法|定期回収に混ぜない理由|倉敷市
使い終わった乾電池、膨らみかけたモバイルバッテリー、交換した蛍光管、使いかけのスプレー缶。事業所の引き出しや倉庫にたまりがちなこれらは、少量でも、事業系一般廃棄物の定期回収の袋に入れてはいけません。倉敷市の定義では、事業所から出るごみはすべて「事業ごみ」ですが、その中身は事業系一般廃棄物・産業廃棄物・資源物に分かれ、行き先がそれぞれ違います。理由は2つあります。ひとつは、事業所から出たこれらの多くが法律上は産業廃棄物で、蛍光管にはさらに上乗せの決まりがあること。もうひとつは、袋の中で発火し、収集車や処理施設の火災につながるおそれがあることです。この記事では、倉敷市で一般廃棄物収集運搬業の許可を受けているファーストサービスが、品目ごとの行き先と、事業所で先にやっておくことを整理します。
定期回収の袋に入れてはいけない2つの理由
① 事業系一般廃棄物ではないものが混ざる
事業所から出るごみは、業種ではなく素材で行き先が決まるものがあります。廃棄物処理法施行令第2条は、金属くず(第6号)とガラスくず・陶磁器くず(第7号)を、紙くずや木くずのような業種の限定を付けずに産業廃棄物としています。スプレー缶の缶は金属くずの側に入ります(中身が残っている場合は、中身の種類によって扱いが変わります)。乾電池についても、電池工業会は事業系から出るものを産業廃棄物と案内しています(詳しくは後述)。
倉敷市は、産業廃棄物について「市処理施設での受入れは行っていません」としています(倉敷市「事業活動に伴って排出されるごみの出し方」)。倉敷市の事業者向け冊子「Let’sスリム」は、事業ごみの種類の図で、産業廃棄物と資源物(紙類・飲料用缶など)を「市の清掃工場に搬入できない」もの、事業系一般廃棄物のうち可燃ごみを「市の清掃工場に搬入できる」ものとして示し、「産業廃棄物は市のごみ処理施設に搬入できません」とも明記しています。当社のような許可業者が定期回収で集めた事業系一般廃棄物は市の清掃工場などへ運び込むため、袋に産業廃棄物が紛れていると、市が受け入れていないものをそのまま持ち込むことになってしまいます。同じ冊子で倉敷市は、清掃工場で事業ごみを受け入れる際に資源化物や不適正な廃棄物の混入を確かめる搬入物検査を行い、不適正な排出業者への指導を強化していること、高感度カメラでプラスチック類等の産業廃棄物の不適正処理などの検査も強化していることを案内しています。
② 袋の中で火が出る
倉敷市は、使用済み電池の出し方の案内で「市のごみ処理施設で、電池が原因と思われる火災が頻発しています」と注意を呼びかけています(倉敷市「使用済み電池の適正処理」)。総務省消防庁の検討会資料は、4つの消防本部の事例をもとに、ごみ収集車の火災について、回収した不燃ごみに不適当に廃棄されたモバイルバッテリー等のリチウムイオン蓄電池が紛れ、回転板で外力が加わって、電池のセルが破損・短絡して出た火花が周りのごみに燃え移るケースが多く見られた、と分析しています。倉敷市も、誤って「燃やせるごみ」として出された電池が発火した場合、周りのごみに引火して大きな事故につながる可能性があるとしています。
スプレー缶やカセットボンベも同じです。倉敷市は、中身が残ったままのスプレー缶やカセットボンベは出し方を誤るとごみの収集時に火災が起きることがある、としています。横浜市も事業者向けの注意喚起で、スプレー缶等の廃エアゾール製品の処理に伴って放出された可燃性ガスが原因と思われる爆発・火災事故に触れています(横浜市「スプレー缶の処理方法について」)。回転板で押し込みながら積み込む収集車は、傷ついた電池や中身の残った缶にとって条件の悪い場所です。
品目ごとの扱いと行き先
乾電池・ボタン電池
アルカリ乾電池やマンガン乾電池について、電池工業会は「事業系から排出される乾電池等は産業廃棄物ですので、乾電池等を取り扱っている『産業廃棄物処理業者』に委託して処理してください」と案内しています(電池工業会「電池の捨て方ナビ」)。なお電池工業会によると、国内の電池メーカーが製造・輸入販売している乾電池には1992年から水銀が含まれておらず、環境省の「水銀廃棄物ガイドライン」も、水銀の使用の表示がない乾電池を後述の「水銀使用製品産業廃棄物」の対象外として整理しています。
ボタン電池は家電量販店などに回収缶がありますが、電池工業会は、回収協力店でのボタン電池回収はお店で買い物をされるお客様を対象としたもので、事業系から出るボタン電池は産業廃棄物として処理業者へ委託するよう案内しています。ファーストサービスも岡山県の産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていますので、電池類の回収もまずはご相談ください(鉛蓄電池のように当社の許可の範囲に入らないものもあるため、お引き受けできる品目はご相談のうえでお答えします)。
充電池・モバイルバッテリー
ニカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池といった小型の充電式電池は、資源有効利用促進法によって、電池や電池を使う製品のメーカー・輸入販売事業者に自主回収と再資源化が義務づけられています。その回収を担っているのが一般社団法人JBRCで、事業所からJBRCの回収に出す場合は「排出者登録」が必要です。
JBRCの案内では、回収の対象はJBRC会員企業製で、電池の種類がはっきりしているものに限られます。破損・膨張・水濡れのある電池、電池パックから取り出した電池、機器を分解して取り出した電池は受け付けていません(JBRC「排出方法(回収対象、対象外説明)」)。また事業者の登録では、回収は手渡しのみで無人の場所は登録できないこと、登録管理費がかかることが案内されています(JBRC「事業者排出者登録」)。対象から外れるものは、産業廃棄物として処理業者に委託することになります。
なお倉敷市は令和8年4月から、ごみステーションでの充電池やモバイルバッテリーの回収を始めていますが、これは家庭ごみの出し方として案内されている仕組みです。倉敷市は、法人・個人、営利・非営利、事業規模の大小に関わらず、事業活動に伴って出る「事業ごみ」はごみステーションに出せないとしています。
また、鉛蓄電池はJBRCの回収対象外です。電池工業会は、事業者から出る鉛蓄電池を特別管理産業廃棄物になると案内しています。
蛍光管(蛍光ランプ)
事業所から出る蛍光管は、産業廃棄物のなかでも「水銀使用製品産業廃棄物」にあたります。廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号ロで定められた区分で、環境省の「水銀廃棄物ガイドライン」は、蛍光ランプを水銀の使用の表示の有無に関わらず対象になる製品として挙げています。この区分には、通常の産業廃棄物より一段踏み込んだ決まりがかかります。
▶ 保管:保管場所の掲示板に、水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨を記載する。他の物と混ざらないよう仕切りを設ける(廃棄物処理法施行規則第8条)。
▶ 委託契約書:水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨を記載する(同規則第8条の4の2)。
▶ マニフェスト:水銀使用製品産業廃棄物が含まれる旨と、その数量を記載する。
▶ 委託先:収集運搬・処分それぞれの委託先の許可の「事業の範囲」に、水銀使用製品産業廃棄物が含まれていること。
ガイドラインは、割れると水銀が飛散・流出するため、破損と流出を防げる適切な容器で保管するよう求めています(環境省ホームページ「水銀廃棄物ガイドライン 第5版」(PDF))。実務では、購入時の紙ケースに戻しておくと割れにくくなります。マニフェストの基本は事業ゴミのマニフェスト誤解で整理しています。
蛍光管は、これから事業所で一度に出てくる機会が増える品目でもあります。水俣条約を受けて、一般照明用の蛍光ランプは種類ごとに製造・輸出入が禁止されていきます。環境省によると、電球形は2026年1月1日から(30Wを超えるものは2027年1月1日から)、コンパクト形は2027年1月1日から、直管形と環形は2028年1月1日から(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは2027年1月1日から)禁止です。使用・販売・購入は禁止されませんが、LED照明への切り替えを進める事業所では、交換の時期に使用済みの蛍光管がまとめて出ることになります(環境省ホームページ「一般照明用の蛍光ランプの規制について」)。
スプレー缶・カセットボンベ
事業所から出るスプレー缶は、缶本体が業種を問わず産業廃棄物の「金属くず」にあたります(施行令第2条第6号)。キャップや噴射ボタンなどのプラスチック部分も、業種を問わず産業廃棄物(廃プラスチック類)です。倉敷市の冊子「Let’sスリム」も、缶詰の缶などの空き缶を「すべての業種において産業廃棄物となるもの」のうち金属くずの例に挙げています。
気をつけたいのは中身です。まず中身を使い切り、ガス抜きのやり方や出し方は委託先の指示に従ってください。横浜市は、日本エアゾール協会など関係団体でつくる「エアゾール製品処理対策協議会」がまとめた「事業者によるエアゾール製品の安全廃棄処理指針」を参考にするよう案内しています(この指針は、主に中身の入った製品をまとめて廃棄する場合を想定したものです)。塗料や薬剤が残っている缶は、その中身も含めて処理業者に伝える必要があります(次章で説明します)。
消火器
消火器は、廃棄物処理法の広域認定制度にもとづいてメーカー等がリサイクルを行う品目です。移転や閉店の片付けで出てくることが多いので、処分の流れは倉敷市の事業所から出る粗大ごみ・大型什器の処分方法でまとめています。
事業所で先にやっておくこと
▶ 定期回収の置き場とは別に「出せないもの」の箱をつくる
いちばん効くのは、置き場の段階で混ざる余地をなくすことです。電池・蛍光管・スプレー缶は品目ごとに別の箱に分けて定期回収の容器から離して置き、それぞれ何を入れるかを貼り出しておきます。蛍光管は、ほかの物と混ざらないよう仕切りを設けて保管してください(前述の保管の決まりです)。箱は屋根の下など雨がかからない場所に置いてください。環境省のガイドラインも、水銀使用製品産業廃棄物の保管の留意事項のなかで、電池類は雨水によって腐食しやすいため雨水の浸入を防いだ場所に保管するよう求めています。置き場全体の考え方は事業ゴミの保管場所・置き場づくりで気をつけることをご覧ください。
▶ 電池は端子を絶縁して保管する
充電池は端子どうしが触れるとショートします。JBRCは、回収に出す電池に絶縁処置を的確に行うよう求めています。倉敷市も充電池の出し方の案内で、端子部分をビニールテープで覆って絶縁するよう示しています。保管のうちから絶縁しておけば、保管中の事故も防ぎやすくなります。
▶ 機器の中の電池は、外せるものだけ外す
リモコンや時計、小型の電気機器を捨てるときは、乾電池や取り外せる充電池を抜いて別にしておきます。一方で、倉敷市は充電池を内蔵して外せない製品について、無理に外すことは危険だと注意しています。外せないものは、そのままの状態で処理業者に相談してください。
▶ 委託するときは「中身」と「注意点」を伝える
産業廃棄物の委託契約書には、廃棄物処理法施行規則第8条の4の2により、廃棄物の性状や荷姿、他の廃棄物との混合等により生ずる支障、取り扱う際に注意すべき事項などの情報を含めることになっています。東京都環境局は、リチウムイオン電池の処理を委託していないのに引き渡した廃棄物に混入していた場合、委託基準違反で処罰の対象となるほか、収集運搬車両や処理施設の破損、作業員の安全を脅かす事態を招くと注意を呼びかけています。契約書の記載事項は事業ゴミの委託契約書の書き方で解説しています。
▶ 家庭用の回収箱に入れない
ごみステーションでの充電池回収やお店の回収缶は、家庭や買い物客向けの仕組みとして案内されています。「少しだから」と持ち込まず、事業所の産業廃棄物として処理ルートを決めておきましょう。
倉敷市の事業ゴミ定期回収と「出せないもの」の相談はファーストサービスへ
事業系一般廃棄物の収集運搬には、廃棄物処理法第7条第1項により、その区域の市町村長の許可が必要です(自ら運ぶ場合や、古紙など専ら再生利用の目的となるものだけを扱う場合などを除きます)。許可は市町村ごとなので、倉敷市の事業系一般廃棄物を運ぶには倉敷市の許可が要ります。一方、この記事で取り上げた品目の多くは産業廃棄物です。一般廃棄物と産業廃棄物は許可が別で、産廃の許可だけでは事業系一般廃棄物は運べず、その逆もできません。違いの全体像は事業系一般廃棄物と産業廃棄物の違いで整理しています。
ファーストサービスは、倉敷市の一般廃棄物収集運搬業と、岡山県の産業廃棄物収集運搬業の両方の許可を持っています(お引き受けできる品目はご相談ください)。倉敷市は、市内で産業廃棄物の処分業を行う者は倉敷市長の許可を、収集運搬業を行う者は「倉敷市長又は岡山県知事の許可を受ける必要があります」と案内しています。つまり倉敷市内での産業廃棄物の収集運搬は、岡山県知事の許可でも倉敷市長の許可でも受託できます。なお、鉛蓄電池のような特別管理産業廃棄物は別の許可が必要なため、当社ではお預かりしていません。また蛍光管(水銀使用製品産業廃棄物)は、許可の「事業の範囲」にこれを含む業者でなければ運べません。当社でお引き受けできるかは、許可の内容を確かめたうえでお答えします。
毎日出る事業系一般廃棄物は、倉敷市に特化した自社便ルートの定期回収でお預かりしています。「これは袋に入れていいのか」と迷うものがあれば、回収の前にお声がけください。定期回収に入れられるものと、別に手配が要るものを、現物を見ながら一緒に仕分けます。
出典:「廃棄物処理施設等で発生した充電式電池等を原因とする火災の実態」(消防庁・住宅における電気火災に係る防火安全対策検討会 第2回 資料2、令和5年12月1日)、環境省ホームページ「水銀廃棄物ガイドライン 第5版」(令和8年3月)、環境省ホームページ「一般照明用の蛍光ランプの規制について」。本記事では、これらの内容をファーストサービスが要約・編集して紹介しています。
